私、恋をしている
気になって…少し離れた場所から観察する。私の『お兄ちゃん』に相応しい女性か、確認するためだ。


綺麗な女性のほうは、どうやら塩谷さんの知り合いのようだ。私より数倍…いや、月とスッポン。塩谷さんは、私のどこがいいんや?めっちゃ綺麗な友達いてるのに…。


その友達も、かわいい女性やった。艶やかな黒髪に、笑うとえくぼができる。きっと、ええ匂いがするやろな…。


芳賀さんの表情は、見えなかったけれど、女性2人は、ずっと笑顔だ。もしかしたら、気に入ったのかもしれへん。


良かったやん?あんなかわいい女性やったら、好きになるやろ?間違いなく、彼女にするやろ?なぁ、芳賀さん?


私は、その場を離れて、美容院に向かった。お店のショーウィンドウに映る私は、ぜんぜんかわいくない。髪もパサついてきてるし、重い黒髪をごまかすために束ねている。スタイルも良くないし、えくぼもない。


泣きたくなる気持ちを堪え、美容院に到着した。シャンプーをしてもらい、とりあえず、スッキリした。


「長さは、どうされますか?」


「短く、切ってください…」



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