私、恋をしている
肩まで伸びた髪を、ボブにした。ショートカットにする勇気は、なかった。カラーリングは、やめた。


でも、少しだけ新しい自分に、なれた気がした。


「顔が小さいから、短いのが似合いますね」


オシャレな美容師さんにそう言われて、自然と笑みがこぼれた。そうか…私、短い髪が似合うのか。自信を持とう。


美容院を出てから、駅に向かった。金曜日の夜の梅田は賑やかすぎて、私には辛すぎた。せっかく髪を切って、新しい自分になれた気がしたのに…なんで辛いんやろ?なんでやろ?この気持ち…。


さっきから胸が、しめつけられてるねん。この気持ちは、なんやろう…。


駅のホームに着くと、なかもず行きの電車が、出たところだった。仕方なく、ベンチに座った。鞄からスケジュール帳を取り出し、ページをめくる。いちばん後ろのページには、1枚の写真が入っていた。


それは、ある飲み会で撮られた写真。カメラが趣味のグループリーダーが、私と芳賀さんを撮ってくれたのだ。


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