私、恋をしている
『佐野さん、芳賀くん、同期で仲良しやね!1枚、撮ったろ?』


『ありがとうございます!芳賀さん、表情かたいよ?』


…そう言って私は、芳賀さんのほっぺをツンツンしたんや。そしたら、やっと笑ってくれた。


芳賀さんは、笑うと目がなくなるねん。普段は、あんまり笑わんけれど、2人でお酒を飲んでたら、つまらん話でも、よく笑ってくれたなぁ。


芳賀さんは、あの人の前でこんな笑顔をいっぱい見せるやろうな。無口やけれど、2人っきりになったら、甘い言葉を、囁くかもしれへん。キスもするやろうし、愛し合うんやろうな…。


「あ………」


2人の写真に、ポタポタと涙が落ちた。ティッシュで叩くように拭く手の甲に、また涙…。


どないしよ…。勝手に涙が出てくる。この気持ちは…この気持ちは…。


お兄ちゃんなんかや、ない。妹と、思われたくない。


私…芳賀さんが、好きなんやわ…。



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