私、恋をしている
「和生が乗ってるトラックの、運転席のポケット!」


運転席のポケット?私はすぐに、トラックのドアを開けた。


「さ!佐野ちゃん!」


焦る芳賀さんを振り切り、中を確認する。そこには、1枚の写真が…。


「オレ、それを見た時『和生は、舞ちゃんが好きだ』って、すぐに気付いた」


「し、塩谷さん………」


芳賀さんは、真っ赤な顔で突っ立っていた。写真、大事にしてくれてたんや…。嬉しいやら、恥ずかしいやら。


「…と、言うわけで!塩谷さん、ごめんなさい。私たち、ラブラブですから!」


真っ赤な顔の芳賀さんの腕に、抱きついてみせた。


「こ、コラっ!」


慌てる芳賀さん。


「うわー!朝から気分悪い」


そう言いながらも笑う塩谷さん。


「では、本日も安全運転で!」


ぴしっと背筋を伸ばし、敬礼して見せる私。


「はい!行ってきます」


街では、いろんな飲料メーカーのトラックが走っている。暑い夏も、寒い冬も、雨の日も、風の日も。飲料に、ほんの少しの『愛』をこめて。


(おしまい)







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