営業の森さんと事務の高橋さん
とりあえず、森さんと私がかように接点をもつのは、だ。

今いる会社がけして大企業と呼べるものではなく。
きちりきちりと毎朝、社訓読みあげたり、体操するようなところで。

必ず必ず、朝の更衣室で鉢合わせしてしまう。

森さんはほぼ朝イチで出社するし、私は私で小心者なんでそれより僅かに遅れてやってくる。

「おはようございます、高橋さん」

森さんはやはり私を睨んで(目付きが悪い説は却下だ。だって他の人には笑みを浮かべてるからな!!)、やや低めの声を出す。

うむ。
実にセクシー。
海外ドラマの女優さんのようだ。
パンツルックもよく似合ってらっしゃる。


などと、一度は余裕を持って観察してみたい。

「おはようございます」
プラスお天気の話題で会話なんてすぐ萎む。

慰めなのは、本来消極的内向的にも関わらず、何度かした接客業で私が多少、『営業』ができることだ。

あたりさわりのない笑顔と社交辞令はプライスレス。

いやいや、まあ、それだけでなくね。
初めは気を遣ったり、まさか嫌われてないよね?って確認したくて、流行りのテレビドラマや映画、ファッションの話題を振ってみたりしたわけだけど。

森さんはまったくそういうものに疎いわけではないのに、私と会話をしたくないだけのような態度であったので……

努力するのを止めた。

まあ、いいや。

今のところにずっといるわけじゃないだろうし。
次の更新止めることだってできるし。

と、だらだらと一年が過ぎたときのことである。
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