椿姫と乙姫 【GL 】
「まだ、此処にあったのかえ」

澪は声を出すことはなかった。

「身体ぐらい戻そうとは思ったのだけれど。まあまあ、珍しいこと」

彼女は、そうして澪の頬を、髪を撫でた。

「あまりこうしたことはよろしくないのだけれど。こども、ほら返事をしてごらん? 」

けれども海の中で声が出るはずもない。
澪は、まばたきをした。

「口も聞けないとはとんだ愚図だこと。でも、まあよい。のう、今日は妾も機嫌がいいのだ。そのまま、おまえを帰してあげる」

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