駆け込まない、立ち止まらない。
4train
「びっくりした?乱斗が金城さんと付き合ってて。」
帰りの電車の中やはり話題は乱斗君達のこと。
びっくりしたっていうか、なんというか。仲良いぶん麗哉君だけじゃなくて、私にも教えて欲しかったな、って。
金城さんが周りに秘密にしているのだからしょうがないけど…
でもなんで、秘密にしてるんだろう。
やっぱり、周りにひやかされるのが嫌だから?
でも、嫉妬するくらいなら周りに知られた方がもっと恋人らしくいれるんじゃないかな…??
「金城さんのエゴじゃないよ、もっとも彼女らしい理由があるんだ。」
麗哉君がこっちをみて言う。
私何も言ってないのに…なんとなく伝わったのかな?
こういうふとしたことがすごく嬉しい。
それよりも…
「彼女らしい??」
麗哉君の降りる駅が近づく…
「また明日ね。」
そういって、彼はおりて行った。
もちろんわたしの駅まで乗っていることはない。
降りてから一度も振り返らないってのは、最初から変わってないな…
降りてから振り返って手を振ってくれても…
ああ、またなんか嫌な自分になってる気がする。
隣のドアにいたカップルが手を振っているのをみるとやっぱり、そうは思ってもやるせない気持ちが残る。
人は人自分は自分。
次はわたしの降りる駅だ。
カバンを持って立ち上がる。
解決したはずなのに、いつもよりカバンが重い気がした。