最弱ヤンデレ佐々木くん
「お前さ、こうやって縛られてされんのが好きらしいじゃん」
廊下と居間を隔てる扉の隙間から、ハテナを総動員するような言葉が流れてきた。
男の声だ。かなり低く、聞いただけで危険信号が点滅するような音色。
隙間から覗けば、縛られている彼女を目にした。
縄で荒っぽく足と手首を縛られ、口にはガムテープ。
そんな彼女の姿をヘラヘラと見つめる20代ぐらいの男。
「んなナリして、そっち系の趣味があんだろ?聞いたし、自分でも公言してるみてえじゃん。監禁されて、拘束されたいとかなんとか。俺をフるなんて馬鹿だよなぁ、お前。相性最高だと思うんだけどー」
彼女の口のガムテープが剥がれる。
剥がした男は、無理矢理に彼女の唇を奪おうとしたが、唾をかけられた。
「はあ?なに勘違いしてんのかしら?あんたとはジャンルが違う。あたしが求めているものが、あんたには一切ないわ、早漏。勘違いして先走ってんじゃないわよ」
男の血管が切れたのは目に見て分かった。
腕が振り上げられる。その先はーー見たくなんかない!