恋飴
トイレに寄って化粧を直して
もう一度さっきの掲示板に戻ると、
さっきのたくさんの生徒たちは
もう誰もいなかった。
「え、もうチャイム鳴ったっけ?
さっそく出遅れとかお疲れ~。」
独り言を言いながら
クラス分けの紙を見る。
三年七組___
大きな高校で生徒数も多く、
もともと友達が少ない事もあって、
知り合いはいなさそうだった。
「くーーーうーーーーーっ♫」
校舎に入ろうとすると、
後ろから誰かに抱きつかれた。
「おぇ!」
間抜けな声を出しながら後ろを振り返ると、
「咲(さき)!おは~」
親友の森本咲だった。
明るめのミルクティー色に
ピンクのメッシュを入れた
肩までの髪をユル巻きにし、
がっつりメイクに着崩した制服のギャル。
身長も見た目も少し似ているため、
よく双子にも間違えられる。