俺の魂を狂わす女
私は完全にどうかしている。

彼を想うばかりの毎日に

仕事が手につかず

いけないと思いつつボンヤリしてしまい

こんな有り様では部下にも示しがつかない。

坂下さんには即バレだったことにも落胆し

今の自分に自信がなかった。

彼を家まで送り届け

別れ際に言われたことは現実だったのか

思い過ごしだったのか

夢だったのかどうだか全く判断がつかず

悶々としている自分がイヤだった。

連絡しようにも手段がない。

いきなり自宅を訪ねるほど親密ではない。

かと言って

沢木さんを介して様子を聞くにも勇気がいる。

何もできないことに失望していた。

心の奥で彼を求める想いがあることはわかっていた。

それをどうやって伝えたらいいのかがわからなかった。

今までは自分から好意を持ったことがなく

大抵は相手が先に気持ちを表してきたため

こんな風に悩んだことがなかった。

贅沢な悩みだと言われたらそうかもしれない。

ただ見つめるだけの時間さえないのが

今最も苦しいことだと

それだけはわかっていた。

< 17 / 43 >

この作品をシェア

pagetop