俺の魂を狂わす女
「何だよ、改まって。」

「実は結婚しようと思っているんだ。」

「は?マジ?」

「いたって普通に真面目だ。」

「ホントか?」

俺はうなずく沢木の顔を凝視した。

「そうか。それは、めでたい。」

「おまえ、大丈夫か?」

「ああ、まったく問題ない。」

「ホントに?」

「ああ、でもなんで急に?」

「一種の冒険だな。」

「は?おま、冒険で結婚できるのか?」

沢木は再びうなずいた。

「正気とは思えないが。」

俺は頭を横に振った。

「いつも女に捨てられるおまえよりマシだと僕は思う。」

「俺には理解できないな。」

「つまり、結婚は一つの世界だ。今とは違う世界に行くという旅だ。」

「ますますわからん。」

「単純だろ?」

「いや、その世界は単純とは思えないが。」

お互いに手元のコーヒーを飲んだ。

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