俺の魂を狂わす女
俺は沢木の妻になる女性を想像したが

頭に描けずにいた。

「で、相手はそういうのをちゃんと理解しているのか?」

沢木は屈託なくうなずいた。

「当然だよ。」

「すごいな。いったいいつから付き合っていたんだ?」

「おまえと組む前からだから約5年になるかな。」

「俺にはそんな素振りを見せなかったじゃないか?」

「まっ、そうだな。」

俺はまだ見ぬ沢木の生涯のパートナーになる女性をすでに尊敬できた。

俺よりも堅実な沢木が結婚を冒険と吐く意味が

俺の脳には浸透しなかった。

「日高?」

「ん?」

「今度会わせるよ。」

「ああ。」

「おまえともパートナーだからな、ビジネスの。」

沢木は涼しく言って2階へ上がった。

俺はカップを片付けながら思った。

玲香も過去に付き合ってきた女同様

俺を捨てるだろうかと。

俺が全てに無理強いしなければだが。

< 23 / 43 >

この作品をシェア

pagetop