俺の魂を狂わす女
救急搬送の怪我人はどこにいるかを綜合受付で聞いた。

日高という名を出したら

コンシェルジュに地下の検査室前まで案内され

長椅子で待つよう言われた。

昼間のこの時間帯は他の患者はまばらだった。

CT室からストレッチャーが出てきた。

空だ。

誰も乗せてない。

それを押すヘルメットをかぶった人に声をかけた。

「あの、交通事故にあった知り合いの者ですが、本人はどこですか?」

「日高さんでしたらこれから中で検査です。しばらくお待ちください。」

「あの、怪我はひどいんですか?」

「外傷は軽いようですが、検査で確認します。」

「バイクはどこに?」

「バイクは大破に近いようなので警察の方で調べることになります。」

「大破?」

私の動揺はマックスになった。

「では、お大事に。失礼します。」

「ありがとうございました。」

私は二人の救急隊員に頭を下げた。

座らずにそこらをウロウロするだけで

何もできずドキドキする鼓動だけの自分に

だんだん腹が立ってきた。

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