ラブ☆チョイス
「とにかく!最初に俺がこの女に目をつけたんだ!早くどこかへ行け!」
「ちょっと痛いってば!」
高木君はまだ諦めがつかず、隙を見て逃がさないように私の手首を力強く握り締める。
あまりにも力強く握られてしまい、私は痛さに顔を歪めた。
もう、今日は一体何なの!男運ついてなさすぎ……。
情けなくて思わず泣いてしまいそうになる。
その時……
「いい加減、諦めなって」
「いっ……!」
どこから現れたのか、今度はヨウと一緒にいた茶髪の彼が高木君の手首を捻り上げ、私の手首から高木君の手が離れた。
高木君は捻り上げられた手が痛いらしく、短い悲鳴を上げている。
「しつこい男は嫌われるんだよー?」
「わっ、わかった!もう手を出さないから離してください!」
「んー、どうしよう?彼氏のヨウ君、離しても良い?」
「……離してやれ」
高木君の手を捻り上げながら楽しそうな笑みを浮かべる茶髪君にヨウは呆れ気味にため息を吐いて、高木君を解放するように答えた。
「言っておくけどヨウをナメんなよ。こいつ、 怒らせると怖いから」
「ひぃ!ごっ、ごめんなさいー!」
茶髪の彼の笑顔が楽しそうな笑みから意味深で不気味な笑みに変わると、高木君は顔を真っ青にして一目散に逃げ出す。
その瞬間、私は腰が抜けてしまい後ろに体がよろけて倒れそうになった。