伝わる温もり

思い出

次の日から私は、親友である夕里にも
伶斗にも何て言えばいいか考えた。
でも、どっちにしろ二人を悲しませる事になる。ヤだなぁ……。怖いよ。

「心愛ーっ!伶斗君来てるわよー。」

「はーいっ……。うっ……。」

早く行かないと……。でも、動こうとすると動悸と吐き気に襲われる。

「うぅ……。げっほ……。」

「心愛、大丈夫?今日は学校行かない方が……。」

「だ、大丈夫だから……。ありがとう、それにね……夕里と伶斗に言わなきゃならないから。」

そう、私には今日言わなきゃいけないとそう思ってた。私の体のこと。

「行ってきます。」

「辛くなったら先生に言うのよ。行ってらっしゃい。」

「はーいっ。お待たせ、伶斗。」

「おう!はよっ。」

「あ、伶斗、昼休みちょっと良いかな?夕里にも伝えたい事あるから。」

「?わかった。昼休みな。」

朝はいつも通り、夕里と他愛のない会話をして過ごした。そして昼休み。二人に集まってもらった。

「どうした?呼び出して。」

「そうだよ、急に話があるとか言い出して。」

「……。うん、あのね。私……肺に腫瘍があって、余命があと4ヶ月なの。」

「え……。それ本当?」

「マジかよ。じゃあ……一緒に居られる時間が僅かしかないってことか?」

「うん……。でもその僅かしかない時間をちゃんと楽しみたい……。」

「分かった。じゃあ辛かったら言って。支えるから。」

「俺も支える!心愛を一生守る。」

「二人とも……。ありがとう。でも、二人には幸せになって欲しいの……。」

「……心愛。」

「大丈夫だから、私。私ね、二人の未来を縛りたくない。」

だから、お願い。私の為に未来を棒にふるのは止めて。二人の顔見てると苦しいの……。笑ってる二人が好きなの。
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