じゃあなんでキスしたんですか?
驚いてとっさに起こそうとしたからだを、引き留められる。
頬と肩に、森崎さんの手のぬくもりを感じる。
「好きだよ、ミヤコ」
とろけそうな声に、背中がしびれる。
「好きだ」
引き寄せられるまま、わたしは森崎さんと唇を合わせた。
懐かしいやわらかな感触に、胸を突かれる。
「森崎、さん」
キスが深いものになっていく。
かすかに漂うアルコールのにおいに、すこしの罪悪感を覚えながら、されるがまま唇を開いた。
いつのまにかからだを返され、背中がシーツに沈む。
上からわたしを覗きこむように見る森崎さんは、もう笑っていなかった。
かといって無表情でもない。
まるで理性を取り戻したような真剣さで、口にする。
「ミヤコ、好きだ」
低く艶のある声に、からだの芯がしびれる。
「森崎さん」
震える手を首に回すと、そのまま押し潰されるようにして抱きしめられた。