じゃあなんでキスしたんですか?
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カーテンが引かれたままの窓の外は真っ暗だ。それでもまだ、日付は変わっていない。
規則正しく上下する引き締まった胸元に、そっと指をのばす。わたしの手が触れても、呼吸はぶれることなく続いていく。
すっかり深い眠りに落ちた森崎さんに布団をかぶせて、わたしはベッドを降りた。
脚のあいだに、これまで経験したことのない鈍い痛みを感じながら、絨毯に転がった下着を拾い上げる。
次に目が覚めたら、彼はきっとすべてを忘れているのだろう。
脱ぎ散らかした服をひとつずつ身につけて、静かに寝息を立てている顔を見下ろした。
飽くことなく愛の言葉をささやいた、その形のいい唇に、人差し指をあてがう。
手は足よりもずっと皮膚感覚がすぐれているのに、指先でその繊細な柔らかさを感じ取ることは難しいらしい。
身をもってその感触を知ってしまった今となっては、ことさらに。