じゃあなんでキスしたんですか?
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画面に表示されたデータをもとに、わたしはカタカタとグラフの数値を入力した。各店舗の売上げを比較して、売れ筋商品を割り出していく。
雑誌の取材対応をしている大橋さんに代わって、指定された店舗の売上げデータまとめているところだった。
「よし」
作成したグラフと表をプリントアウトして大橋さんのデスクに置く。
仕事は次から次へと舞い込んでくる。担当している社内報の仕事だけではなく、細かいデータ入力やリサーチを頼まれることが増えていた。
モニターに張り付けたメモに線を引きながら、やるべきことを消化していく。
「ええと、次は原稿チェックと校正依頼と会議室の予約」
社内ネットを介して会議室の予約状況を確認し、次回の編集会議の日程を編集部員全員にメールで送る。
「よし、ひとまずコーヒーブレイク」
一区切りしたところで席を立つ。ふと目に入った正面のデスクは空だった。森崎さんはいまミーティングの最中だ。
総務部のフロアを抜けてエレベーターホールに出る。階段の扉を開こうとしたところで後ろから声をかけられた。
「小野田さん小野田さん」