じゃあなんでキスしたんですか?
「あのね、マイちゃん。この部屋に男の人を入れちゃダメです」
妹は驚いたように声を上げた。
「ええ、どうしてぇ」
「ここはわたしの部屋だから」
びしっと言うわたしに、彼女は頬をふくらませて不服そうな顔をする。
「でも、ミヤちゃんの寝室には入れてないのに」
「ここはわたしがお金を払って借りてるアパートでしょ? 自分の家に勝手に人が出入りしてるなんて気持ち悪いと思わない?」
そう言うと、マイはうかがうようにわたしを見つめ、しばらくしてからちいさく息を吐き出した。
「そっかぁ。ミヤちゃんにとっては知らない男の人だもんね」
「そう。女の子の友達ならまだしも、男の人は……ね」
「ミヤちゃん、男子に免疫ないもんね」
頬がぴくりとひくついた。
「べ、別に、免疫がないわけじゃ」
「うん、わかったよ。今度からエッチは別の場所でするね」
やわらかく表情を崩した可愛い顔から、さらりと生々しい言葉が放たれて、わたしはめまいを覚えた。