じゃあなんでキスしたんですか?


「あのね、マイちゃん。この部屋に男の人を入れちゃダメです」
 
妹は驚いたように声を上げた。

「ええ、どうしてぇ」

「ここはわたしの部屋だから」
 
びしっと言うわたしに、彼女は頬をふくらませて不服そうな顔をする。

「でも、ミヤちゃんの寝室には入れてないのに」

「ここはわたしがお金を払って借りてるアパートでしょ? 自分の家に勝手に人が出入りしてるなんて気持ち悪いと思わない?」
 
そう言うと、マイはうかがうようにわたしを見つめ、しばらくしてからちいさく息を吐き出した。

「そっかぁ。ミヤちゃんにとっては知らない男の人だもんね」

「そう。女の子の友達ならまだしも、男の人は……ね」

「ミヤちゃん、男子に免疫ないもんね」
 
頬がぴくりとひくついた。

「べ、別に、免疫がないわけじゃ」

「うん、わかったよ。今度からエッチは別の場所でするね」
 
やわらかく表情を崩した可愛い顔から、さらりと生々しい言葉が放たれて、わたしはめまいを覚えた。

< 33 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop