じゃあなんでキスしたんですか?
「さっきユウ君がチケットくれたんだけど、今度の土曜に映画の試写会行かない?」
テレビ台の上に置いてあった紙片を取り上げてぴらりと振って見せる。
「ミヤちゃんが見たがってた恋愛映画だよ」
「え、ほんと? 行く行くー」
言ったあとで頭に不敵な微笑が思い出された。
「ああっ、やっぱりダメだ。土曜は仕事入っちゃってる」
彼はデートするぞ、と言っていたけれど、そのあとでインタビューをするのなら、やっぱり仕事でいいんだよね?
「えー土曜なのにぃ?」
「う、うん……」
じっと見つめられて、なんとなく目を逸らすと、妹はあきらめたようにつぶやいた。
「そんじゃあ仕方ないかぁ。別の友達誘っちゃうね」
「うん、ごめんね」