好きになっちゃダメなのに。
PROLOGUE
ああ。
今日も、空が青い。
「明李(あかり)」
教室の窓越しに見える、果ての見えない鮮やかな空の青は、私の大好きな色。
「あーかーりっ!!」
いつまでだって見ていられるなぁ……。
「晴山(はれやま)っ!!」
ビクッ!!
思わず身体が震え、耳元で叫ばれたその大きな声が容赦なく私の鼓膜を揺らす。
「え、え?」
何事?
どうしていきなり耳元で叫ばれたの?
瞬時には状況を理解できず、私はぼんやりしていた頭を起こすように何度か瞬きを繰り返し、そしてようやく声がした方に顔を向けた。
「っ!!」
すると、目の前に飛び込んできたのは、世界史の高橋先生。
生徒指導担当でもある高橋先生は、怒った顔がとても怖い。
もともと切れ長の目を更につり上げて、ギュッと隙間を埋めるみたいに眉を寄せる。
そう、ちょうど、今目の前にいる高橋先生みたいに──って、わあああっ!?
先生、私のことを怒ってる!?
「え、わ、すいません!!」
< 1 / 307 >