好きになっちゃダメなのに。
夕衣さんと果歩先輩の言葉に、なんだか本当にそんなような気がしてくる。
あの速水くんが私の応援を必要にしているなんて、心強く思ってくれているなんて、絶対ありえないって思うのに。
それなのに不思議と、こんな私でも少しは役に立てているんじゃないかって思えてくる。
「……もしそうだとしたら、嬉しいです」
思わず呟いた私に、ふたりはにっこりと優しい笑顔を向けてくれた。
「あ、そうだ!明李ちゃん、今日作ったお菓子、そのお友達におすそ分けしたら?美味しいものを食べたら元気になれるし」
「果歩、それ名案!幸せのおすそ分け、してきなよ!」
……速水くんに、お菓子のおすそ分け、かぁ。
速水くん、甘いもの、好きかな?
あ、でもパーティーのときはケーキ食べてたよね。
じゃあ、大丈夫かな?
「……そうですね。じゃあ今日、持って行ってみます」
こくりと頷いて、先輩たちのアドバイスを受け入れた私に、ふたりは嬉しそうに笑った。