好きになっちゃダメなのに。
「……あはははは。そ、そうだよね、行かなきゃね。ごめんね羽依ちゃん、ちょっと行ってくる」
「うん、いってらっしゃーい」
動揺しながら椅子から腰を上げて歩きだすと、ガタンッ、と机の脚にぶつかって机が大きな音を立てた。
「ちょっと、大丈夫!?」
「あはははは、うん。大丈夫大丈夫」
思いっきり脛をぶつけて痛い。
でもそれより今は、速水くんのところに行くのが怖くて痛みはあまり気にならなかった。
……だって。
速水くんがわざわざ私の教室まで来たのって、私のことを怒ってるからだよね?
昨日の放課後。
私はたしか、彼を慰めようと思って一緒に帰ったはずだった。
それなのに、気付いた時には生意気すぎることを言ってしまっていた。