好きになっちゃダメなのに。

私、後悔したのに。

龍也さんと一緒にいる志賀先輩を見る速水くんがあまりに苦しそうだったから、諦めないことが男らしい、なんて言わなきゃよかった、って思ったのに。


あんな思いをさせてしまったのは私にも責任があるから、少しでも速水くんの力になろう、って。

元気になってもらえるように頑張ろう、って。

せめて私は優しくしよう、って。



……そう思っていたのに、どうして昨日の私はあんな口をきいてしまったんだろう。



あの会話のあと、すぐに駅についてしまったから、私が我に返ったときにはすでに速水くんと別れたあとで。


正気になった私には、昨日の自分の言葉がとても信じられない。


どうして元気づけようとしていた人に、あんなことが言えたんだろう。

速水くんだって、きっと怒ってるに決まっている。

< 140 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop