好きになっちゃダメなのに。
もしかして、クラスの皆の前で怒られるのかな。
うう。
わかんないけど、とりあえず怖いよ……!
「おおお待たせしました何かご用でしょうか」
ドアのところに辿り着いた私は、俯いたまま早口にそう言うのが精いっぱいだった。
すると、頭上から呆れたような声が降ってくる。
「なにそれ、どこかの店員のマネ?……そんなのはいいから、ちょっと来て」
「えっ!?」
ぐいっ、と引っ張られた手に驚いて、思わず俯いていた顔を上げる。
もうすでに早足に歩き出していた速水くんの横顔が見えて、だけどその表情は決して怒っているようには見えなかったから、思わず安堵の息が零れた。
なんだかよくわからないけど、命拾いしたみたいだ。