好きになっちゃダメなのに。

それにしても、だよ。

私がイメージしていた生徒会選挙といえば。

去年も、そして中学生だったときも、生徒会の選挙と言えば大体は出来レースで。

まず落ちる人なんかいなかったから、対抗馬のいない信任投票の選挙しか想像していなかった。


今年の選挙も、生徒会長以外の役員に立候補しているのは、綺麗に一人ずつ。

よっぽどのことがない限り、きっと会長以外の人は立候補者がこのまま当選すると思う。


並んだ名前を見ても、見たことのある名前、というか今の生徒会役員がほとんどそのまま立候補しているから、問題のある生徒なんているはずない。

本当なら、速水くんだってそんな役員候補の一人で、何の問題も無く役員に選ばれていたはずなのに。


それなのに。


私が、『会長になって学校を変えてやる、くらいの意気込みがなきゃ龍也さんに勝てるわけない』なんて余計なことを言ったせいで。

速水くんはもともと立候補するはずだったであろう書記ではなく生徒会長に立候補しちゃったから、もうひとりの生徒会長候補とたたかうことになってしまった。

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