好きになっちゃダメなのに。
……はあ。
間違いない。
私、バカなこと言った。
できるなら、あの日に戻りたい。
速水くんに勢いのまま啖呵を切ってしまった、あの放課後に。
そしたら、訂正するのに。
せめて、生徒会長を生徒会役員に訂正するのに。
けれど切ないかな、どんなに悔やんでも過去は変えられない。
速水くんが立候補したのはほとんど私のせいだから、責任逃れもできない。
結局、今の私にできるのは、速水くんの隣で、精一杯力を尽くすことだけなんだ。
「晴山さん」
ふいに呼ばれて顔を上げる。
「……なに?」
「選挙まで2週間、ヨロシク」
意地悪な笑みを浮かべてそう言った速水くんに、私は嫌な予感しかしなかった。