好きになっちゃダメなのに。
「速水くんが代わりに私の宿題やってくれるなら、全然問題ないけど!」
「そ。じゃあ明日から宿題持ってきて。代わりにやってやるから」
「え、……え!?」
私なりの嫌味を込めたつもりだったのに、まさかの即答。
しかも快諾。
まさかすぎるよ!
信じられなくて思わず歩いていた足を止めると、私の半歩先を歩いていた速水くんが、怪訝そうな顔で振り返った。
「……何立ち止まってんの?」
「えっ、だって。本当に私の代わりに宿題やってくれるの?」
私がそう言うと、速水くんはさらに怪訝そうに眉間にシワを刻み、呆れたように息を吐いた。
「あんたが自分で言ったんじゃん。
……あ、もしかして、教えてやるから自分でやれ、とか言われたかった?」
ニヤ、とからかうように意地の悪い笑みを浮かべた速水くんに、反射的にぶんぶんと首を横に振った。
勢いよく。
だって速水くん、絶対スパルタだもん。
できる人にはできない人の気持ちなんて理解できないだろうし!
教えてもらおうとしたところで、こんなのもわかんないの、って鼻で笑われるに決まってる!