好きになっちゃダメなのに。
さっきの、速水くんの声だ……。
え、じゃあ告白してるのって、速水くん?
っていうことは。
あの速水くんが、告白して、しかもフラれ────。
「っ!!」
理解が追い付かずに立ちつくしていると、突然目の前に現れた、背の高い人影。
曲がった先にいた私を見つけた速水くんは、ポーカーフェイスの彼にしては珍しいほどの驚いた表情をしていた。
きっと私も、速水くんと負けず劣らず驚いた顔をしているに違いないけれど。
まさか速水くんがこっちに曲がってくるなんて思っていなくて、頭の中が真っ白になる。
告白を聞かれるなんて、絶対嫌だよね。うん、私なら絶対嫌だもん。
どうしよう。
何を言ったらいいの!?
「晴山さん」
向かい合ったままのしばしの沈黙の後、先に口を開いたのは、速水くんの方だった。
怒られるかも、と思っていた私の予想を裏切って、その声からは怒りや不機嫌さは窺えない。
ただ、いつものように淡々とした、彼の少し低い声が耳に届く。
「は、はい」
なぜだろう、まっすぐに速水くんの顔が見られない。
俯いて、頷いた。