好きになっちゃダメなのに。
そうだった、世界史の授業中だった、とようやく思い出す。
それに、何度も呼ばれていたことも雰囲気でわかった。
私ったら、お昼休みが終わってすぐの授業だからって、ぼーっとしちゃってたんだ!!
「……そんなに退屈か、晴山」
「い、いえ!そんなことは」
「授業中に考え事とは余裕だな。今度のテストが楽しみだ」
ひいいいい!!
心の中で声にならない悲鳴を上げる。
私がいつも世界史のテストは赤点ギリギリだっていうことを分かっていて、先生はこんな意地悪を言うんだ。
『バ・カ!!』
隣の席の羽依(うい)ちゃんが、口パクでそんなことを言ってきた。
先生に当てられても気付かない私を何度も呼んでくれたのは、羽依ちゃんだったんだろう。
せっかく羽依ちゃんが助けてくれようとしていたのにそれにも気付かないなんて。
……本当、バカすぎるよ。私。
「余裕な晴山には、大サービスでこのページの問題全部解かせてやろう」
ジトッとした目で私を一度見ると、先生は教卓のほうに戻りながらそう言った。