好きになっちゃダメなのに。

だけど、速水くんからは何の反応も返ってこなかった。

しびれを切らして顔を上げると、まっすぐに私を見ていた速水くんとバチッと目が合う。


目が合ったことに驚いたような顔をしたのは、私じゃなくて、速水くんのほう。


目が合った時の速水くんは、私の言葉を理解できない、とでも言うようなポカンとした表情をしていたのに。

速水くんでもこんな顔するんだ、なんて思ったのも束の間、速水くんは驚いたように目を丸くして、動揺したように瞳を揺らした。


……え?


「速水くん……?」

予想外の反応に、私のほうが戸惑ってしまった。

秒速でそっけない反応が返ってくるって思っていたのに。


どうして何も言ってくれないの?

どうしてそんな顔をするの?


分からなくて、だけどどうしてか胸がギュッと痛む。


……あれ、おかしいな。

まだ何も言われていないのに、どうして痛いなんて思うんだろう。


「……それ、晴山さんからそうしてほしい、って言った……、わけないよね」

「!?」

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