好きになっちゃダメなのに。

しばらく黙りこんでいた速水くんがやっと口を開いたと思ったら、そんなことを言うものだから。

驚きすぎて、私はすぐには速水くんの言葉を理解できず、言葉がでなかった。


「……なっ、何言ってるの!?そんなわけない!!」


須谷くんと付き合いたくて、私が賭けを申し出たって思ってるの?

そんなこと、絶対ありえないのに……!


それに、もしそうだとしたら。
速水くんが勝つほうではなく、須谷くんが勝つほうに私の望みを賭けたことになる。


それじゃあまるで、私が速水くんじゃなくて須谷くんの方を応援しているみたいじゃん。


そんな速水くんを裏切るような真似。

私に、できるわけないのに。



「……だよね」

呟くようにそう言った速水くんが、柄にもなく、心から安堵したような無防備な顔をするから。

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