好きになっちゃダメなのに。

「……っ」


ああ、と思った。

中間で負けたこと。

速水くんだって、ショックだったんだ。

不安、だったんだ。


……もう。

速水くんの、バカ。

わかりづらいよ。

選挙の間は私、絶対的に速水くんの味方なんだよ。

一緒に頑張る仲間だって、相棒だって思ってるんだよ。

速水くんはみんなより少しだけ大人で、強い人だけど。

そういう弱いところだって、見せてほしいよ。


「私、ちゃんと拒否しようとしたんだよ。でも、速水くんが絶対勝つと思ってるなら問題ないでしょ、って言われて、私、言い返せなくて」

「……」


「速水くん、あのね。

私は何があっても速水くんの味方だよ。絶対勝てるって信じてる」


私の話を黙って聞いている速水くんに、私は一方的に話し続ける。

ちゃんと信じてほしいから。

私が誰より速水くんの勝利を信じているんだってこと。

誰より近くで応援していたいんだってこと。



「私は絶対に速水くんのこと、裏切らないから。だから、速水くんも、私のこと……、信じてほしい」


ねぇ、お願いだよ。

独りで戦っているなんて、思わないで。

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