好きになっちゃダメなのに。
「その感じだと、暇みたいだな」
「え……、え?」
グイッとひかれた腕。
何が起こっているのか、全く頭が付いていかない。
いったいどこにつれていかれるの!?
あまりに混乱しすぎて、離して、とも言えない私はずるずると速水くんのペースに巻き込まれたまま、ひかれる腕に導かれるままに、彼の後をついていくしかなかった。
「……」
辿り着いたのは学校のすぐ近くにあるファーストフード店。
どうして速水くんとハンバーガーを食べることになっているのか、さっぱりわからない。
お腹いっぱいパンケーキを食べてきたばかりの私のトレイに乗っているのはジュースだけだけど、向かい合って座る速水くんはハンバーガーを完食するところだった。
こんな中途半端な時間に食べて、夕ご飯食べられなくならないのかなぁ。
なんてぼんやり考えながら、速水くんがハンバーガーを頬張る姿を眺める。
このお店は私も結構利用するけど、一緒に来るのは大抵部活の子とかクラスメイトとか、それこそ羽依ちゃんとはよく来るんだけど。
まさか速水くんと、しかもふたりで来る日が来ようとは、想像もしていなかった。