好きになっちゃダメなのに。

「その感じだと、暇みたいだな」

「え……、え?」


グイッとひかれた腕。

何が起こっているのか、全く頭が付いていかない。

いったいどこにつれていかれるの!?


あまりに混乱しすぎて、離して、とも言えない私はずるずると速水くんのペースに巻き込まれたまま、ひかれる腕に導かれるままに、彼の後をついていくしかなかった。



「……」

辿り着いたのは学校のすぐ近くにあるファーストフード店。

どうして速水くんとハンバーガーを食べることになっているのか、さっぱりわからない。

お腹いっぱいパンケーキを食べてきたばかりの私のトレイに乗っているのはジュースだけだけど、向かい合って座る速水くんはハンバーガーを完食するところだった。

こんな中途半端な時間に食べて、夕ご飯食べられなくならないのかなぁ。


なんてぼんやり考えながら、速水くんがハンバーガーを頬張る姿を眺める。


このお店は私も結構利用するけど、一緒に来るのは大抵部活の子とかクラスメイトとか、それこそ羽依ちゃんとはよく来るんだけど。

まさか速水くんと、しかもふたりで来る日が来ようとは、想像もしていなかった。

< 22 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop