好きになっちゃダメなのに。


「……晴山さん、それ、言っていて恥ずかしくないの?」

「!?」


しばしの沈黙をやぶった速水くんの言葉に、私は絶句してしまった。

ちょっと、さすがにヒドくないですか!?


「は、恥ずかしいに決まってるじゃんっ!!でも、私、は……っ」


つなげようとした言葉は、声にはならなかった。

私を見て笑う速水くんの表情が、あまりに優し気だったから。

肩の力を抜いて、ふわりと笑った速水くんの笑みに、驚いて。


まるで誰かに掴まれたみたいに、心臓がギュッと痛くなった。


「ん?なに。どうしたの」


言葉を途中で切ってしまった私を不思議そうに見る速水くんの表情は、依然優しい。

速水くんの言うとおり、さっき速水くんに向けた言葉は、口に出すのは結構恥ずかしかった。


でも。

いつもの彼からは想像できないくらい優しい目で見つめられている今の方がよっぽど、くすぐったくて恥ずかしい気持ちになっているのはどうしてだろう。

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