好きになっちゃダメなのに。
第4話 好きな人。

♯ 1 緊張と誇り


♯1


中間投票の結果が出てから投票日までの1週間は、あっという間に過ぎていって。

いよいよ、生徒会役員選挙の日がやってきた。


7限目の時間を使って行われる選挙。

投票の前に全校生徒の前で立候補者はスピーチをして、そのあとに投票が行われる。

結果は、明日の昼休みに掲示板に貼り出されることになっていた。



生徒会長のスピーチは、一番最後。

しかも、須谷くんスピーチの方が先だから、速水くんは本当に最後だ。


体育館に全校生徒が集まると、現生徒会長の進行でスピーチが始まった。

最初に推薦人からの短い紹介があり、そのあとに立候補者のスピーチをする流れ。


推薦人はほとんど引退予定の現生徒会の人たちだし、立候補者も生徒会を続ける人が多いから、立派すぎるくらいのスピーチが続く。

今回初めて立候補するメンバーですら、緊張のかけらも見えないくらい堂々として見えて。

私は、ステージ裏で自分の出番を待っている間、ドクドクと心臓が脈打つ速度がどんどん増しているのを感じていた。



「……緊張しすぎ」

隣から呆れたような声が聞こえ、そちらを見ると、速水くんが苦笑している。

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