好きになっちゃダメなのに。
「仕方ないじゃん!私は速水くんと違って、こんなふうに全校生徒の前に立って話すなんてこと、慣れてないんだから……!」
私はステージの方に声が漏れないように、小さな声で言い返した。
だって、速水くんが生徒会長になれるかどうかがかかってるんだよ!?
そんな重圧、緊張しないわけがない。
「緊張してる晴山さんを見てると、俺まで緊張してくるから」
「えっ」
緊張って伝染するの!?
と目を丸くすると、速水くんは小さく笑う。
「大丈夫。晴山さんがどれだけ失敗しても、結果に影響ない」
「はい?」
「晴山さんが頼りなくて場慣れしてないことなんて、全校生徒承知の上だから。完璧なスピーチができるなんて初めから思ってない」
「!?」
ちょっと!?
そ、それはひどくない?
私は私なりに頑張ろうと……っ!
反論しようと口を開けた私に、速水くんは苦笑した。
「バカ、本気で受け取るなよ。……冗談」