好きになっちゃダメなのに。
なんなの、もう!
「……じゃあ、もういいですよね。空腹は満たされましたよね。私、帰ります」
「何言ってんの?まだ話は終わってないから」
「……」
終わってない、っていうか、始まってない、っていうか、話があるとか言われてないですよねー!?
……と言いたいのをこらえて、私は立ちあがりかけていた動きを止め、再び椅子に腰を下ろす。
速水くんのこういうところが、苦手。
言葉はすごく直接的なのに、全部を言ってくれるわけじゃないから、本当に困る。
私の頭の回転はお世辞にも早いほうとは言えないから、速水くんの言いたいことがすぐには理解できないんだ。
「話って」
「さっきのことだよ。……ちょっと、聞きたいことがあって」
「ききたいこと?」
速水くんが、私に?
なんだか速水くんがそんなことを言うのが意外で、私は思わず首を傾げていた。
すると、彼にしては珍しく、少しためらうようにしてから口を開く。
「……俺って、男らしくないと思う?」
「……」
え?
なに?
男らしく?
ない?
……速水くんが??