好きになっちゃダメなのに。
びっくりして、立ち膝になっていた足からも力が抜けた。
ペタン、と座りこんでしまったら、さらにギュッと抱きしめられる。
な、なに、これ。
何が起きてるの?
「は、速水く……っ」
「あか、り……」
「っ!?」
ダメ。
こんなふうに名前を呼ばれて、ドキドキしないなんてムリ。
心臓が壊れそう。
「っ」
どうしたらいいのか分からず、抱きしめられたままになっていると、ふいに私の身体に回る腕の力が緩んで。
速水くんは、私と目線を合わせるようにして、少しだけ距離をとった。
……すると。
「!?」
速水くんと視線がぶつかった瞬間。
さっきまでとろんとしていてどこか夢うつつだった速水くんの瞳が、驚いたように見開かれる。
どうやら、ばっちり目が覚めたみたいだ。
「え。……えっ、な、晴山さん!?ちょ、え!?」
バッ、と私を解放した速水くんは、相当混乱しているようだった。