好きになっちゃダメなのに。
キツい、って。
どういう意味?
え、私、おかしいことは何も言っていないよね?
速水くんは、志賀先輩のことが好きで。
振り向いてもらいたくて、生徒会長にまで立候補して。
……うん、やっぱり私、間違ってないよ。
それなのにどうして、速水くんは私の言葉を遮ったりしたんだろう。
「速水くん」
「あー、もう。やっぱりあんた、陽よりずっと難しいしめんどくさい」
はああー、と再び大きなため息を吐き出した速水くんに、私は目を剥いた。
どうしていきなりそんなことを言われなきゃいけないの!?
面倒なんて失礼だよね!?
「めんどうって、ひど……っ」
ひどい、そう言おうとした私の声は、ひゅっと勢いよく戻ってきてしまった。
再びグイッ、と力強く私の身体を引き寄せた速水くんの腕に、私は抵抗することもできなかったから。
「!?」
ちょ……っ、私、どうして抱きしめられてるの!?