好きになっちゃダメなのに。
今日はなんてすごい日なんだろう。
選挙にも当選できて。
叶うはずないと思っていた恋が叶おうとしてる。
────こんな日に笑わないで、いつ笑うの。
今は泣く必要なんてない。
「生徒会長、当選おめでとう」
まっすぐに速水くんの瞳を見つめ返して、はっきり告げた。
少し驚いたような顔をしたような速水くんに、私はにっこり笑う。
「あとね」
まさか、こんな幸せな気持ちで、この言葉を言える日が来るなんて想像もしていなかった。
「私も、速水くんのことが好きです」
口にした瞬間、身体が再び温もりに包まれて。
「……速水くん、ハグ好きなんだね」
直に感じる温もりに、さっきまでは一方的に与えてもらうだけだったその抱擁に。
今度は私も手を伸ばして、キュッと彼の背中に手を回す。
速水くんは「からかうなよ」と少し拗ねたように言った。