好きになっちゃダメなのに。

「そんな顔するなよ」

「だって」


私が反抗しようと口を開いたとき進行方向から楽しそうな笑い声が聞こえてきて、思わずそちらに視線を向けた。


「あっ!遥斗と晴山さん!ホラ、早く来ないと食べ物なくなっちゃうよ~」


開け放たれた中庭へと続くドアから、ひょっこり顔を出したのは、志賀先輩。

先輩の手には飲み物が入っているのだろう紙コップと、もう片方の手にはフォークにささった唐揚げらしきものが見える。


「もう始まってるんだ!?」


おかしいな、志賀先輩からもらった招待メールには17時からって書いてあったような気がするんだけど……。

慌てて時計を見るけど、まだ17時までは少し時間がある。


「あくまで目途だから、それ。去年もこんな感じだった」

「そうなんだ」


私は速水くんに頷いてから、出迎えてくれた志賀先輩に挨拶をして中庭に入る。

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