好きになっちゃダメなのに。
普段は鍵のかかっている中庭。
そこは校舎の中からでもガラス越しにきれいな花々が見えたけど、実際に足を踏み入れてみるとどれだけ丁寧な手入れがされているのかが分かった。
もう冬に近づいてきているから花の盛りはほとんど終わっているけど、それでも秋の名残を感じる。
木々に囲まれるように置かれたテーブルには可愛いテーブルクロスが敷かれ、その上に簡単な料理やお菓子が乗っていた。
その周りで、新旧の生徒会メンバーが賑やかにおしゃべりをしている。
「もう日が落ちるとすぐに寒くなるから、さっさと撤収しちゃわないといけないの。だから、晴山さんも頑張って食べてね」
志賀先輩はそう言ってにっこり笑うと、自分と同じ代の生徒会メンバーの輪の中に入っていった。
「そうだよね、もうすでに寒いもん。どうして外でやるの?」
私も周りの人に倣って紙コップに飲み物を注ぎながら、速水くんに尋ねる。
すると、「単純に代々やってることを踏襲してるだけでしょ」と冷静な返事が返ってきた。
……そっか。
私が入学するよりずっと前からこの場所が、生徒会の人たちにとっては始まりの場所で、終わりの場所でもあるんだ。
なんか、いいな。
そういうの。