好きになっちゃダメなのに。

まさか私が、という思いが強くて、まだ自分が生徒会の一員になるという実感はほとんどないけれど。

それでも、頑張れという言葉が胸に沁みて。

パチパチとあたたかい拍手に包まれて、私は「精一杯頑張ります」と答えた。





「……で、遥斗。結局もうひとりの説得は失敗したっていうわけ?」


やがて拍手が止み、続いて今の生徒会長へと速水くんが花束を渡しおわる。

メイン行事を無事に終え、安堵に柔らかい雰囲気になったと同時に、新しい会計の女の子からもらった花束を持ちながらそんなことを言ったのは、志賀先輩だった。


……もうひとり?


志賀先輩の言葉の意味が分からずに私は首を傾げたけれど、どうやら意味が分かっていないのは私だけのようだ。

周りの皆は、苦笑いを浮かべている。

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