好きになっちゃダメなのに。

「たしかに、須谷くんは要領いいよね～。明るくて、優しくて、人当たりもよくて。世渡り上手って感じ」


思わずクスッと笑って言った私を、速水くんは不満気ににらんでくる。


「……何追い打ちかけてきてんの？」


恨めしげな声に、私はふふっと笑う。

冷たく見られがちで、上から目線だと思われちゃう速水くんは、きっとこれからも人間関係苦労するんだろうなぁって思うよ。

そんなところは、須谷くんとは真逆。


「だって。速水くんって意外と人間らしいんだなぁって」

「まぁ、人間だからね」


意味が分からない、とでも言いたげな速水くんに、私はにっこり笑ってみせた。


「でも私は、不器用な速水くんがすきだよ？」


いつでも自分らしくいる速水くんが好き。

これからもそのままでいてほしいよ。


「……ホント、やめてそういうの」


私の言葉に驚いたような表情をした速水くんは、しかしすぐに大きく息を吐いてそう言った。


「まぁ、でも。そういうあんただから良かったんだろうね。
……俺、晴山さんが傍にいてくれるって信じられたから、須谷と一緒に生徒会やってみたいって思えたんだ」


「……え？」