好きになっちゃダメなのに。

────引き継ぎの全校集会がおわり、ステージを下りる。

ほかの生徒は続々と体育館から教室に引き上げていて、賑やかなざわめきがだんだん遠のいていく。



そんななか。

「ちょっと須谷!!あの登場はどういうこと!?」


ステージ脇に集まった、新旧生徒会メンバーは、まさかの登場をした須谷くんに詰め寄っていた。

最初にどういうこと、と声を上げたのは、もちろん志賀先輩だ。


「いやー、だって朝は明李ちゃんからもお願いされちゃったし、速水がどうしてもって言うんで。

直前まで決心つかなかったけど、スピーチであんなこと言われちゃ、出ていくしかないじゃないですか」


苦笑いを浮かべながらそう言った須谷くんに、周りは大きくため息をこぼす。


「なにそれ……、引き受けるならもっと早く引き受けてよ。見てるこっちがヒヤヒヤしたわ!」

「ホントだよ~。ステージ上でみんな固まっちゃってたもん。速水くんがちゃんとまとめてくれたからよかったけど」


志賀先輩と梶原先輩の言葉に、新生徒会メンバーは「本気でびっくりしすぎて、何が起こったのか分からなかった」と口々に言う。



「まぁ、でも、これでちゃんと全員そろったわけだし。

……頑張れよ、新執行部!」

苦笑しながら事のなりゆきを見守っていた旧生徒会長が、力強くエールをくれて。


私も、そして他の生徒会メンバーも、

「はい!!」

と力強く、返事をした。

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