好きになっちゃダメなのに。
……日曜日の人混み。
ふたりきりの会話。
見慣れた制服姿じゃない、私と速水くん。
家族以外の男の子とふたりで出かけたのはこれが生まれて初めてだなんて、速水くんには絶対内緒。
────そもそも。
どうして速水くんとふたり、日曜日に学校の外で会っているのかと言うと。
木曜日に速水くんが口にした、『協力してほしい』という言葉。
それを、本日実行しているのだ。
『陽の誕生日プレゼントを買いたいから選ぶの手伝って』
協力、なんて一体何をさせられるんだろう、と思っていたけれど、速水くんがお願いしてきたのは案外普通のことだったから、私は無意識のうちに安心してしまった。
聞くと、志賀先輩は来週誕生日で、生徒会みんなで小規模ながらもパーティーをするらしく。
そのときにプレゼントを渡したいんだって。
プレゼントを選ぶのって難しいもんね。
しかも相手が異性だなんて、なおさら。
と、共感してしまう部分もあったから、抵抗もなく『いいよ』と承諾した。
そして、今に至る。
「あ、コレ、可愛い」