好きになっちゃダメなのに。
なんとか人混みを抜け、目的地であった駅の近くのショッピングモールに辿り着くことができた私たち。
今は、女子向けの雑貨屋さんにいる。
私が「可愛い」と言って手に取った、ふわふわの化粧ポーチに視線を向けた速水くんは、しかしすぐに首を横に振った。
「……なんか違う。そんな女の子らしいデザインのものをあいつが持ってるとこ、見たことない」
「そうなの?」
私は欲しいけど、と思いながら手に取ったポーチを商品ラックに戻す。
「陽はもっと、なんて言うか、実用性重視って言うか」
「そっか。難しいね」
私は結構デザイン重視で選んでしまう。
志賀先輩と私ってとことん似てないんだなぁ、ってしみじみ感じてしまった。