好きになっちゃダメなのに。

なんとか人混みを抜け、目的地であった駅の近くのショッピングモールに辿り着くことができた私たち。

今は、女子向けの雑貨屋さんにいる。


私が「可愛い」と言って手に取った、ふわふわの化粧ポーチに視線を向けた速水くんは、しかしすぐに首を横に振った。


「……なんか違う。そんな女の子らしいデザインのものをあいつが持ってるとこ、見たことない」

「そうなの?」


私は欲しいけど、と思いながら手に取ったポーチを商品ラックに戻す。


「陽はもっと、なんて言うか、実用性重視って言うか」

「そっか。難しいね」


私は結構デザイン重視で選んでしまう。

志賀先輩と私ってとことん似てないんだなぁ、ってしみじみ感じてしまった。


< 36 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop