好きになっちゃダメなのに。

志賀先輩って、ああいうのが好きなんだ。

……速水くんって、ああいうのが好きな女の人が好きなんだ。


「って私、何考えてるの」

自分の思考にびっくりしていると、隣に人の気配がして顔をあげると、会計を終えたらしい速水くんが立っていた。


「……なんか独り言言ってなかった?」

「え!?き、気のせいだよ!」


聞こえてたの!?
恥ずかしい!!

私は慌てて持っていたポーチを棚に戻して、速水くんの方に向き直った。


「まぁ、なんでもいいけど」

買い物を無事終えられた安堵からか、速水くんは一度、ふう、と息を吐き出してそう言った。


「とにかく、良いのが買えてよかったね。行こ」


お店を出て時間を確認すると、お昼すぎに待ち合わせたはずなのにいつの間にかもう夕方と呼べる時間帯に差し掛かっていた。


「で、どこがいい?」

「え?」

急にクエスチョンを向けられ、私はきょとんとしてしまう。


どこ、って。

一体何の話?

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