好きになっちゃダメなのに。

「~~~っ」


もう、なんなの?

怒らないのね?

本当に、本当に怒らないんだよね!?

約束破ったら、私も怒るからね!!


「……どんだけ上から目線なの!?って思ったの!」


意を決して言った私に、速水くんは一瞬面喰ったようだったけど、すぐにキュッと眉をひそめた。


やっぱり怒ってる!?


「だ、だいたいね!」


どうせ怒られるのなら、さっきまで我慢していたことも言っちゃえ。

どうせ、速水くんとは今日が終わったら、またかかわりのない生活に戻るんだし。

そうだよ。

何を怖がっていたんだろう。

速水くんに嫌われたところで、私、全然問題ない。


「速水くんの言ってることが正しいのは分かるよ。でもね、正しいことだからこそ、傷付くの。もう少し優しく言ってくれたっていいじゃん……っ」


……そういえば。

この前、速水くんに「振られたことを言いふらしてもいい」って言われたときも、こんなふうに後先考えずに言い返した気がする。

他の誰にも、こんな風に感情を素のままにぶつけたりしないのに。

< 55 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop