好きになっちゃダメなのに。
「~~~っ」
もう、なんなの?
怒らないのね?
本当に、本当に怒らないんだよね!?
約束破ったら、私も怒るからね!!
「……どんだけ上から目線なの!?って思ったの!」
意を決して言った私に、速水くんは一瞬面喰ったようだったけど、すぐにキュッと眉をひそめた。
やっぱり怒ってる!?
「だ、だいたいね!」
どうせ怒られるのなら、さっきまで我慢していたことも言っちゃえ。
どうせ、速水くんとは今日が終わったら、またかかわりのない生活に戻るんだし。
そうだよ。
何を怖がっていたんだろう。
速水くんに嫌われたところで、私、全然問題ない。
「速水くんの言ってることが正しいのは分かるよ。でもね、正しいことだからこそ、傷付くの。もう少し優しく言ってくれたっていいじゃん……っ」
……そういえば。
この前、速水くんに「振られたことを言いふらしてもいい」って言われたときも、こんなふうに後先考えずに言い返した気がする。
他の誰にも、こんな風に感情を素のままにぶつけたりしないのに。